画家 中村宏さん 追悼

お知らせ
1932年浜松市生まれの画家中村宏さんが、2026(令和8)年1月8日に93歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。

1951年に上京して日本大学芸術学部へ進学した中村さんは、学生運動が高揚するなかで青年美術家連合に参加し、米軍基地拡張反対運動の現場でのスケッチを基に描いた《砂川五番》は高い評価を受け、「ルポルタージュ絵画」の画家として知られるようになります。1950年代末からは、映画監督エイゼンシュテインのモンタージュ理論を応用し、社会的主題と前衛的表現を結びつける試みへと展開しました。やがて、画面にセーラー服の女学生、蒸気機関車など、少年期の記憶に結びつくモチーフが匿名的な風景として立ち上がり、「政治の季節」を生きる若い世代の心を捉えます。1960年代からは、絵画を「精神的労働の場」と位置づけ、それ以降も「タブロオ機械」「絵図連鎖」など独自の方法論を実践し、一貫して具象絵画の可能性を追求してきました。2022年より、自身の戦争体験をルポルタージュした「戦争記憶絵図」に取り組みました。

当館では、これまでに中村さんから作品のご寄贈をはじめ、2021年には、コロナ禍のなかデジタルアーカイブ向けの動画作成にもご協力いただきました。
また、2026年1月20日(火)より開催する中村さんの大規模回顧展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」の準備にあたっては、日頃より多大なるお力添えをいただいてまいりました。同展覧会では、全国の美術館および個人所蔵家から拝借した約250点を超える作品と資料を一堂に紹介し、中村さんの活動を総覧します。同展が、中村宏さんの約70年にわたる活動を顕彰し、表現の現在的意義を問いかける機会となれば幸いです。

自宅アトリエにて 2025年11月16日 (提供:ギャラリー58)

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