新収蔵品

新収蔵品

2017年静岡県立美術館 新収蔵品

油彩(日本)

河合新蔵

富士山
富士山1902(明治35)頃 / 板、油彩 / 21.2×33.4

冬枯れの大地に壮麗にそびえる富士。前景に樹木を配し、画面中央には、川面に樹木の影を映した一筋の川が流れている。現地でしか捉えられない光景である。
板に油彩で描かれた本作は、画家が画材を現地に持ち運び、感興の趣くままに絵筆を走らせた油彩スケッチである。しかし、画面は入念に仕上げられており、富士は広々とした大地の中にその雄姿を現している。

小栗哲郎

夕陽
夕陽 1934(昭和9) / キャンヴァス、油彩 / 65.5×91.0

本作は、当時、小栗哲郎が下宿していた菊川付近の風景を描いたと考えられるが、描かれた場所は分かっていない。前景の畑を抽象的な造形で処理し、一方遠景の山を写実的に描いており、その対比によって画面が構成されている。田んぼの畦道の光と影を描き分けるなど、実景をよく観察している。裏面のラベルや資料などから、昭和9年の第11回春陽会展出品作であることが分かる。

版画

小林清親

従箱根山中冨嶽眺望
従箱根山中冨嶽眺望1880(明治13) / 紙、木版、色摺 / 25.0×36.8

駕籠と歩行の二人の旅人を前景に、雪化粧の富士を望んだ図。表題の下に「一月上旬午後三時写」とあるとおり、写生の時期と時間が明記された作品である。
太陽の光の調子が刻々と変化することを意識し、瞬間の光景を描写しようとした意欲作である。また、画面左端に配された電信柱は、明治の文明開化を象徴するものとして、意図的に描かれたと考えられ興味深い。

ミクスト・メディア

宮島達男

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Life (complex system) - no.12017(平成29) / LED、IC、イケガミプログラムのマイコン、電気ワイヤ、赤外線センサー、アクリル板、アルミニウムハニカムパネル、ステンレススチールフレーム / h.200.2×w.320.4×d.13.3

個展「宮島達男 LIFE(complex system)」(SCAI THE BATH HOUSE、2017年)で発表された新作。LEDのデジタルカウンターで1~9の数字を明滅させることにより、生と死や、他者との関係性を表現している点は、過去30年来一貫している。
一方で、本作には、人工生命の最先端の研究成果が取り入れられており、カウンターがランダムに明滅するよう変更が加えられている。ガジェットが、より生命体に近づいたように見え、人間の生死をテーマに扱う作家のコンセプトがより強固になるとともに、表現上、技術面でも大きな飛躍が見られる。

写真

石川直樹

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Mt. Fuji #382008(平成20) / C-print / h.90×w.112

石川直樹

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Mt. Fuji #412008(平成20) / C-print / h.90×w.112

石川直樹

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Mt. Fuji #482008(平成20) / C-print / h.90×w.112

石川直樹

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Mt. Fuji #552008(平成20) / C-print / h.90×w.112

石川直樹

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Mt. Fuji #802008(平成20) / C-print / h.90×w.112

『石川直樹写真集 Mt.Fuji』(2008年)、『富士山にのぼる』(2009年)に収録されているイメージより5点。
浮世絵、絵画、観光写真、絵はがきを通じて、日本の象徴として古くから知られてきた富士山のイメージから離れ、富士山を “登る山”ととらえている点が特徴。ごつごつとした地表、火口の険しさ、薄靄のかかった上空のイメージからは、石川直樹の登山者、冒険家としての視点が見て取れる。今回の寄贈申出作品には含まれていないが、写真集には祭りや能のイメージが収められており、土地の生活に根付いた富士山信仰や、土地の伝統文化への関心が映し出されている。ドキュメンタリーとアートの境界線上にある写真表現といえる。

各年度の収蔵品

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