ロダン オンラインガイドブック

オーギュスト・ロダン オンラインガイドブック

09 バルザックとロダン

ロダンとその作品の発注者との確執は、≪カレーの市民≫をはじめ、ロダンの制作につきものだった。彼の発表する作品は、その先駆性からいつもスキャンダルを巻き起こした。≪バルザック≫像は、1898年のサロンに出品され、「牛肉の塊」「失敗作」などと酷評を浴びせられ、擁護したのはわずかな批評家だけだった。結局、発注者である文芸家協会は、この像の受け入れを拒否した。

画像:≪バルザックの巨大な頭部≫
≪バルザックの巨大な頭部≫
画像:≪裸のバルザック≫
≪裸のバルザック≫

ロダンは≪バルザック≫像の制作にあたって、残された資料や写真などをもとに、バルザックの真実の姿に迫ろうとした。そして身体の特徴を探るため、バルザックの生まれ故郷トゥールに出かけて、仕立屋に作家の体格にあった同じ寸法の服を作らせた。こうして、数多くの習作、試作が作られ、最終的にフロックコートを着て、身体を少し後ろに反らせ単純化された像が完成する。当館が所蔵する≪裸のバルザック≫は、最終の習作で、これにコートを着せて完成作ができ上がった。また、≪バルザックの巨大な頭部≫も、同じく完成のための最終習作で、凹凸にとんだ肉付けが誇張され、深くえぐれた眼と突出した襞による頭髪が、バルザックの精神を表している。

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