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武内 鶴之助  《英国風景》
1909(明治42)-1912(大正1)年頃
紙、パステル 45.8×60.0cm 当館蔵

1911年頃、英国留学中の武内鶴之助は、イングランド南東部のサセックス地方をめぐる写生旅行に出ていた。武内は、この地の小村アンバレーで、エドワードスタットなる絵画に出会う。この出会いは運命的なものとなり、武内はスタットの指導のもと、雲の連作などをさかんに研究した。結局、数週間の予定だったこの地への滞在は約2年間にわたり、武内は自然風景の描写に大いに磨きをかける機会を得た。

  《英国風景》はこの時期を含む英国留学中に描かれたもの。写生地は不明だが、修練の成果の見える安定した構図による田園風景である。空の表現にはスタットの指導のもとに雲の描写を追究した結果が活かされているようであり、夕焼け(もしくは朝焼け)を描写するオレンジ系の発色が美しい。            
(当館主任学芸員 村上 敬)


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