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田中 孝
《Breeze−2》
1984年
シルクスクリーン、紙
当館蔵


作者みずから模型を作って写真に撮り、その写真をシルクスクリーン製版でプリントするという技法を用いている。抑えの効いた色彩による版の表現は写真の持つ生々しさをやわらげる。写真は撮影日時がはっきりしないものであっても、「この世のどこかである特定の時点で撮影された」という緊張感を拭い去れない。だが本作には、「この世ならぬ世界の不思議な出来事」といった夢幻的な雰囲気がある。そしてそれが田中の作品世界の最大の特徴となっている。 田中孝は1948年大津市に生まれ、京都市立芸術大学で版画を学んだ。1970年代から80年代にかけて、同窓の木村秀樹、安東奈々らとともに写真製版のシルクスクリーン技法で国際的に活躍、現在に至っている。

※「版画と写真−複製芸術の可能性」に出品されます。
(学芸員 村上 敬)

Index
■収蔵品展のご紹介
『 版画と写真 -複製芸術の可能性- 』
■我が愛しのコレクション
〜静岡県美所蔵の現代作品にプライベートコレクションを交えて
■夏休み期間中の普及活動報告
■文人の夢・田能村竹田の世界
−繊細透明な書画の魅力、 重要文化財23件公開!−
■『誘惑の光景 -19世紀のロマン主義版画・ ドラクロワ、 ジョン・マーティンなど- 』
■田中孝《On The Table》《Breeze-2》について
■本の窓 『 イタリア、旅する心 』 末永 航 著
■美術館問はず語り 「空港と美術館の相関関係」



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