ウジェーヌ・ドラクロワ
《ウジェーヌ・ドラクロワ銅版画集》より 1833年
紙、エッチング、アクアチント
当館蔵
1832年、ロマン主義の画家として名を馳せていたドラクロワは、外交使節団の一員としてモロッコへ赴いた。当時、中東やアフリカなどへの異国への憧れは、オリエンタリスム(東方趣味)となって西欧を席捲していた。同地での見聞はドラクロワに芸術上の転機をもたらした。モロッコ訪問の翌年に製作されたこの作品集は、東方の風俗的画趣あふれる6枚の版画より成る。自由な描線による対象の把握、ときにアクアチントを用いた、白と黒のコントラストを際立たせた明暗・立体表現など、随所に作者の優れた版画技術が表れている。 |
(当館学芸員 南 美幸) |
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