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狩野芳崖 《寿老人図》
1881−85(明治14−18)年頃
紙本墨画淡彩 183.2×78.5cm
当館蔵(昭和57年度購入)

寿老人は長寿の象徴、蝙蝠と鹿はそれぞれ幸福と富をあらわす。松、梅に加え、画面奥には竹が描かれており、画題としてはきわめておめでたい作品である。
狩野芳崖(1828-1888)は、フェノロサに見出され、岡倉天心とともに伝統に根ざした日本画の近代化を進めていった。寿老人の顔貌表現には雪舟画の学習が明らかであるが、主要モチーフである寿老人の顔に観者の視線が集中するよう計算された各モチーフの配置、墨の濃淡による独特のグラデーションなどに芳崖の個人様式が顕著にあらわれており、それらを剛直で力強い線描と明快な構図のもとにまとめあげている。幕末狩野派の画風を刷新しようとした芳崖の意欲が見て取れる、晩年の重要作。


(当館学芸員 福士雄也)

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■「石田徹也 −悲しみのキャンバス」展
■ただいま準備中!「心の風景 名所絵の世界」展
■研究ノート ロダンの空間プロデュース -アルマ展における台座を中心に-
■美術館問はず語り「異文化吸収の力―仏教美術の面白さ」



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